本当に低リスク?割安株の落とし穴

歩行者の前方に落とし穴

割安株の目安にPERPBRの指標がよく使われます。

「この2つの指標が低い銘柄を保有すれば、将来値上がりしたときに儲かる」そんな期待を込めて購入する投資家も大勢いると思います。

確かにその予想は当たっているかもしれません。ですが、本当にPERとPBRが低ければ将来値上がりするのでしょうか?

割安株でも絶対に成功するとは限らない」のが株式投資の難しい部分です。

割安株にもリスクが存在します。注意しましょう。

割安株なら将来値上がりする?

会社の実力に対して株価が安く推移している銘柄は「割安株」や「割安な銘柄」などと呼ばれます。お得感のある銘柄なので割安なうちに保有しておけば、将来的に儲ける確率がアップするという考え方です。

割安株の判断に使われるPERとPBRの基本的な仕組みについては、以下の記事を参考にしてみてください。

PRICE DOWN割安株で利益を狙うとき探すのに便利な目安

ですが、「割安」の言葉にはいろんな意味が込められています。必ずしも良い結果をもたらしてくれるとは限らないことを忘れないようにしましょう。

本当に将来的に価値が上がるのなら、割安株を買うべきです。同時に価値が下がるリスクも最小限に抑えられるため、これほど成功しやすい投資方法は他に無いでしょう。

一方で、別のケースが発生する可能性も残されています。

割安なままずっと株価が上がらないリスクです。

PERが低いのは人気の無さのあらわれ

PERは銘柄のお得感を調べるのと同時に、人気度を計る場合にも使われる数字です。

PERが高い銘柄というのは投資家からの人気を集めている証拠です。株価は人気投票的な部分があるので、たくさんの投資家が買い求めようとするほど注目され、どんどん株価は上がります。

会社の実績に関係なく、株価が上がれば上がるほどPERも高くなります。理由の一つとして、投資家から将来的に大きな成長を期待できる会社だと思われている部分もあるでしょう。

逆にPERの低い銘柄は会社の実績のわりには買われていない、人気のない銘柄とも受け止められるんですね。

これといった魅力のない銘柄のまま変化がなければどうなるでしょう?

長く保有し続けても株価が上がらず、資産を増やすための貴重な時間を無駄にしてしまうだけです。

PBRが低い会社なら絶対安全と思うのは危険

上でお話したPERと同じく、PBRの低い銘柄も人気の無さをあらわしています。会社の実力に対して株価が低いわけですから。

PBRは会社の純資産に対して現在の株価が割高か?割安か?を知る材料に使えます。

純資産が豊富な会社ほど低いPBRになりやすいですが、では低PBRなら安心だろうと判断するのは少し危険です。

純資産は規模の大きさよりも中身が重要だからです。

PBRだけでは資産に潜むリスクがわからない

少し簿記の専門的な知識になってきますが、純資産は会社の資産から負債を引いた金額です。

資産 - 負債 = 純資産

上のような計算式で求められるんですね。

資産に含まれるのは現金や預貯金、不動産、受注した取引先から代金を受け取る予定の売掛金などです。

負債に含まれるのは金融機関からの借金、取引先への発注代金分の買掛金など、後日支払いが必要なものです。

純資産が多い会社は負債よりも資産が潤沢です。ですが、これだけで業績の良い会社だと判断するのは注意が必要です。

預貯金を含む現金は比較的安全資産なので特に問題ないでしょう。一方で、売掛金についてはどうでしょうか?

売掛金は会社同士の取引で、まだ現金を受け取っていない状態の資産です。万が一、取引先が経営難に陥って支払い能力がなくなれば、売掛金と同等の現金を受け取れなくなってしまうリスクを持ちます。

受け取れなければ売掛金分の資産が目減りします。

ただ、株式市場に上場する会社は超大手ばかりですし、売掛金に関する保険も存在します。会社が慎重に対応していれば上のような問題は滅多に起こらないでしょう。

例えそうであったとしても、対応できない大きな損失が出る可能性について考慮しなければなりません。100%安全な資産とまでは断言できないんですね。

このように資産の中には将来的なリスクが潜んでいるものもあるんですが、リスクが悪いほうへ傾く予想までPBRに頼るのは無理です

  • 低PBRの銘柄でも資産の中身が悪く、不安定な会社が存在する可能性があります。
  • 高PBRの銘柄でも投資に積極的で、借金をしながら資金を上手く回し、どんどん成長する会社だって存在します。

純資産が多くても中身はわからない。低PBRに頼り切るデメリットはここにあるでしょう。

固定資産の価値が時価ではない

保有する建物や土地などの不動産、高額な機械などは固定資産に含まれます。しかしPBRの計算に使われる資産の場合、一般的に「簿価」という帳簿上の価格で行われます。簿価が高くても本来の価格「時価」が低ければ、結果的にその会社の資産は減ります。

  • 簿価:購入時の価格(取得価格)。固定資産の種類によっては減価償却費や税金などを引いた金額になる。
  • 時価:その時点の市場における価格。土地や建物の場合は国や地方自治体が公表する評価額に近い金額になることが多い。

「低PBRな割安株の会社の固定資産を実際の市場価格で計算しなおしてみたら、割安株ではなかった」

そんな可能性もあり得るということです。

割安株の特徴を活かした買いかた

PERやPBRなどの指標を見ていれば絶対に安全で将来儲かるとも限らないのは何となくわかりましたよね?しかし、低リスクで株式投資を行うときの一つの目安としては使えます。

割安株による投資で失敗するリスクを下げたい場合、以下のような買い方も考えられるでしょう。

高配当の銘柄を選ぶという選択肢

人気の低い割安株だと短期間の値上がりを期待しにくいと思います。だからといって割高株を選ぶとちょっとしたきっかけで売りに出す投資家が急激に増え、株価が暴落するリスクを持っています。それに比べればマシかもしれません。

もし割安株を購入するなら、高配当の銘柄を狙う手があります。

配当利回りが3~4%程度なら比較的高配当な銘柄だと判断できます。5%以上ならかなり高配当ですね。定期的に会社から配当としてお金を受け取れる仕組みを利用した、資産を増やすやり方です。

短期間の売買で儲けを出すには向いていない一方、比較的低リスクな割安株なら長期で保有しやすいでしょう。長期保有中にたくさん配当を受け取れば、あまり株価が上がらなくてもコツコツと資産を増やせます。

この買い方で絶対に成功するとは限りません。割安株であっても株価が暴落することだって考えられるからです。また、業績が悪くなると配当を下げられるケースも珍しくありません。

投資を続けながら会社の将来性や株価の推移を定期的に確認しましょう。その都度、取引の判断を冷静に行う心がけを忘れないようにしたいですね。